調査分析レポート「2021年グローバル不動産投資戦略年報」を発表 ― 2021年の日本を含むアジア太平洋不動産市場は不確実性残るも比較的堅調 ―

報道各位

2021年3月8日

ラサール不動産投資顧問株式会社

この資料は、ラサール インベストメント マネージメント(米国)が 2021年2月2日に発表した英語のプレスリリースをベースに、ラサール不動産投資顧問が日本語に翻訳・編集したものです

不動産投資顧問会社、ラサール インベストメント マネージメント インク(本社:米国イリノイ州シカゴ、最高経営責任者:マーク・ガベイ、以下 ラサール)は、世界の不動産投資の展望に関する調査分析レポート「2021年グローバル不動産投資戦略年報」を発表しました。当レポートでは、例年2~3月に年初時点、7~8月に年央時点での主要各国における不動産投資を展望し、世界の投資家にお伝えしています。以下、その概要をお知らせいたします。

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが依然として猛威を振るう中、アジア太平洋地域はこれまでのところ、他の地域よりも力強い回復を見せています。不確実性は引き続き2021年のメインテーマになると見られますが、ラサールの「2021年グローバル不動産投資戦略年報」では、アジア太平洋地域における経済と不動産市場のパフォーマンスは、国・地域ごとに異なる兆しがあると分析しています。

特に中国は、パンデミックによる景気後退からV字回復を実現しつつあります。アジア太平洋地域の成功は主に、各国政府が各自の役割をしっかり遂行していること、地方行政機関に対する高い信頼感、超緩和的な金融政策、そして主要国における記録的規模の財政出動に起因しています。ワクチン接種が広がることも、景気回復をさらに下支えすると思われます。アジア太平洋地域内での交易拡大や透明性の着実な向上など、ラサールがこれまで指摘してきたトレンドも重なり、様々な安定化要因がパンデミック後の不確実性の影響を軽減させています。

パンデミックの抑制に比較的成功している国々では、極めて大きな内需基盤、効果的な金融・財政刺激策、そして更なる緩和余地が、景気回復を主導すると思われます。ラサールが評価するパンデミック後のアジア太平洋主要国における景気見通しのランキングでは、中国が首位で、その後に日本、韓国、シンガポール、オーストラリア、香港が続きます。これは、アジア太平洋地域では、他地域からの外的要因よりも国内・地域内での景気回復が地域全体の回復に寄与するという、当社の見方を支えるものです。

パンデミックはネット通販へのシフトを加速し、物流施設の需要をさらに押し上げています。物流施設の売買件数は増加する一方、商業施設・小売関連不動産の売買は減少しています。近年、世界全体、そしてアジア太平洋地域で物流施設に対する投資家の需要は旺盛であり、2021年以降、投資対象の物流施設が増大していくことが見込まれます。パンデミックはまた、アジア太平洋地域で唯一規格化されている日本の賃貸マンションセクターの魅力を高め、中国など他の域内での賃貸マンションの台頭を加速させています。現在セクターシフトが進んでいることを背景に、ファンドマネージャーを中心とする投資家は、他の不動産タイプを補完する手段として、この地域での物流施設と賃貸マンションを増やすことで、不動産ポートフォリオの拡大に動くでしょう。

ラサールのグローバル投資戦略・リサーチ責任者であるジャック・ゴードンは、「『2021年グローバル不動産投資戦略年報』では、投資家の皆様にこれまでの方針を継続するようアドバイスしています。意外と思われるかもしれませんが、パンデミックの向こう側には、不動産投資家に見覚えのある風景が広がっていることでしょう。ワクチンが普及した後の景気回復の勢いは、そうしたサプライズのひとつになるかもしれません。当社がフォローする長期のトレンドは、加速する可能性もあれば停滞する可能性もあります。そのため当社は、主力の不動産タイプの将来を世界的視野で注視するとともに、有望な代替不動産の出現にも目を光らせています」と話しています。

ラサールのアジア太平洋地域CEO兼、日本法人のラサール不動産投資顧問代表取締役社長、キース藤井は、「世界の他の地域と比較して、アジア太平洋地域ではいくつかの国が景気回復の先陣を切っています。このことから、今年のアジア太平洋地域では、特にオフィス、物流施設、商業施設、賃貸マンションの各セクターで依然回復力のある日本と、経済と不動産市場が回復しつつある中国において、不動産に対する投資家の力強い投資意欲が続くものと考えられます。消費者のネット通販へのシフトは2021年も継続するとみられ、アジア太平洋地域での物流不動産への資金流入も続くでしょう。広範囲での景気低迷に陥る可能性は低いと思われますが、財政難のデベロッパーや不動産オーナーからの処分売り、あるいは価格見直しの動きがあるかもしれません」と話しています。

ラサールのアジア太平洋地域投資戦略・リサーチ責任者であるエリーシャ・セは、「主要物件タイプの中で、その将来について世界的に最もよく議論されるのがオフィス物件です。当社は、アジア太平洋地域の主要なオフィス市場には他の地域と差別化するいくつかの重要な要素があると見ています。第一に、人の行動が与えるテナントの入居判断への影響です。オフィスへの人の回帰はアジア太平洋地域が最も先行しており、リモートワークから職場への復帰が早くその意向が強いほど、リモートワークがこれから先のオフィスに与える永続的影響は少なくなります。第二に、文化的要素です。オフィスというフォーマルな場で対面で会うことは、その付加価値が大きいと考えられており、中国、日本、韓国などでは欠くことのできないビジネスの礼儀とも見なされています。第三に、日本を始め、高度に都市化されたアジアの街では、ひとつひとつの住宅が比較的狭く、長期でのリモートワークが困難です。従ってオフィス空間の重要な価値のひとつは、リモートオフィスと併用することです。リモートワークは相対的に成功しており選択肢のひとつになりえますが、アジア太平洋地域の主要市場では、オフィス空間の恒常的な代替手段とはなり得ないと考えます」と話しています。

ラサール インベストメント マネージメントについて
ラサール インベストメント マネージメントは、世界有数の不動産投資顧問会社です。世界規模で、私募、公募の不動産投資活動、負債性投資をしており、総運用資産残高は約710億ドルです(2020年12月末現在)。主要顧客は、世界の公的年金基金、企業年金基金、保険会社、政府関連、企業、その他基金(大学基金他)などで、世界中の機関や個人投資家の資金管理を行い、セパレートアカウント型、オープンエンド型ファンド、クローズドエンド型ファンド、公募証券、エンティティレベル投資等の手法で投資を行っています。また、世界最大級の総合不動産サービス企業であるジョーンズ ラング ラサール グループ(ニューヨーク証券取引所上場:JLL)傘下にあります。なお、ラサール不動産投資顧問株式会社は、ラサール インベストメント マネージメントの日本法人です。詳しい情報は、www.japan.lasalle.comをご覧ください。

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