「2020年グローバル不動産投資戦略」調査レポートを発表

報道各位

2020年3月4日

ラサール不動産投資顧問株式会社

世界有数の不動産投資顧問会社であるラサール インベストメント マネージメント インク(本社:米国イリノイ州シカゴ、最高経営責任者:ジェフ・ジェイコブソン、以下ラサール)は、主要30カ国における不動産投資の展望「2020年グローバル不動産投資戦略」の調査レポートを昨年12月、投資家向けに発表しました。そのレポートに年明け以降の状況を踏まえた最新の見通しを反映した上で、本日、概要を以下にてお知らせいたします。

2020年を迎え、新たな感染症の拡散、世界経済の減速、長引く通商協議、不動産価格の高騰、eコマースをはじめとするテクノロジーによる創造的破壊など、堅調に推移してきた不動産市場への向かい風が強まっています。一方で、超低金利環境、豊富な流動性、機関投資家による不動産投資の増加、不動産市場の透明性の向上、追加的な金融緩和および財政刺激策など、不動産市場への追い風も少なくありません。アジア太平洋地域の市場セクターにおけるラサールの投資推奨は、前年までよりもさらに選別的になっています。ただし、追い風と向い風の影響は、アジア太平洋地域の各国で異なる見通しです。

アジア太平洋地域の先行きは、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大などの外的ショックや米中貿易摩擦に直面し、依然として不透明です。中国経済と世界経済に対する新型コロナウイルスの短期的な影響はSARSより大きくなる可能性もありますが、SARSよりも早く回復に至る可能性もあります。新型コロナウイルスの拡散が経済成長と不動産市場に与える影響は現段階では推測の域を出ません。結論を出すのは時期尚早であり、新型コロナウイルスが世界レベルでどの時期に終息するかに左右されます。

一方で、楽観材料は決して少なくありません。ラサールでは今後2〜3年にわたり、アジア太平洋地域も含めて世界経済が減速していく可能性が高いと考えています。しかし、アジア太平洋地域はもともと人口が多い上に、さらなる人口増加、急速な都市化、中間層の台頭によって早期の景気回復が見込まれ、今後も世界で最も高い経済成長率を維持することが予測されます。特に、中国は短期的に成長が鈍化しても、中・長期的にはこれまで同様、世界経済の原動力としてその成長を牽引するでしょう。

不動産の中でも特に、安定インカムを見込める物件はリスク回避的な投資家に選好されています。豊富な流動性と低金利環境を背景に、相対的に高利回りが期待できる不動産はアセットクラスとしてより一層注目されることになるでしょう。そのため、不動産価格は短期的には高い水準で推移することが予測されます。ただし、経済の減速に伴って不動産インカムの伸びが抑制されるため、短期間で不動産価格が大幅に上昇することは期待できません。2020年のトータルリターンは過去数年より低下し、キャピタルゲインよりも、賃料収入が生むインカムゲインに牽引されることになるでしょう。そのため、不動産賃貸市場の需給バランスは今後ますます重要になります。

ラサールのグローバル投資戦略・リサーチ責任者であるジャック・ゴードンは、「金融危機後の10年間はかつてないほど安定した成長が見られました。しかし、今後数年間は、世界経済の段階的な減速、貿易交渉を巡る不一致、国内政治の分裂、不動産価格の高騰、破壊的テクノロジーによって世界の不動産市場には向かい風が強くなるでしょう。ただし、マクロ要因による追い風も複数あるため、現在の好調な市場環境が急速に悪化するとは考えられません。たとえば、先進国の多くで見られる低インフレ、低金利、健全なファンダメンタルズは、不動産市場の成長にとって理想的な環境を作り出しています。また、テクノロジーはある程度のリスクをもたらしますが、十分な情報に基づいた意思決定を可能にし、多くの場合、そのエンドユーザーを不動産に惹きつけるのに役立ちます。世界規模で急速に市場環境が悪化する可能性は限定的です。しかし、投資家が慎重さを忘れずに、各国のマクロ環境とポートフォリオにおける各物件のミクロ環境に細心の注意を払うことが重要です」と話しています。

 ラサールのアジア太平洋地域 投資戦略・リサーチ責任者であるエリーシャ・セは、「今年、ラサールのアジア太平洋地域における市場セクターの投資推奨は、過去数年よりも選別を強化しています。日本の現在の不動産市場は、東京と大阪のオフィス市場を中心にファンダメンタルズが良好であり、短期的なショックやマイナス要因を吸収できることから、引き続き推奨しています。また、底堅い個人消費やeコマースの急成長を背景に、人口が集中する大都市の流通に対応できる先進的物流施設や、食品加工と消費者への配送を効率化するための冷蔵施設・冷凍冷蔵施設に対するニーズの急増などにより、アジア太平洋地域の物流施設市場は相対的に堅調であると予測しています」と話しています。

日本の不動産市場について、ラサールの日本法人であるラサール不動産投資顧問の代表取締役社長キース藤井は、「日本の不動産ファンダメンタルズは引き続き堅調です。都心の賃貸住宅、東京グレードB及び大阪オールグレードオフィス、東京圏の物流施設市場等の主要な不動産市場で空室率が低水準に留まっており、今後の外的ショックやマクロ経済の鈍化に対する抵抗力を維持すると期待されます。マクロ経済においては、政府の経済刺激策が主に家計所得を支えることにより、特定不動産の賃借需要を後押しするでしょう。一方で、新規供給の増加やマクロリスクの影響を受ける市場では、投資対象を選別する必要があります」と話しています。

ラサール インベストメント マネージメントについて

ラサール インベストメント マネージメントは、世界有数の不動産投資顧問会社です。世界規模で、私募、公募の不動産投資活動、負債性投資をしており、総運用資産残高は約680億ドルです(2019年9月末現在)。主要顧客は、世界の公的年金基金、企業年金基金、保険会社、政府関連、企業、その他基金(大学基金他)などで、世界中の機関や個人投資家の資金管理を行い、セパレートアカウント型、オープンエンド型ファンド、クローズドエンド型ファンド、公募証券、エンティティレベル投資等の手法で投資を行っています。また、世界最大級の総合不動産サービス企業であるジョーンズ ラング ラサール グループ(ニューヨーク証券取引所上場:JLL)傘下にあります。なお、ラサール不動産投資顧問株式会社は、ラサール インベストメント マネージメントの日本法人です。詳しい情報は、www.japan.lasalle.comをご覧ください。

本件に関するお問い合わせ先

広報担当(エイレックス) 村瀬亜以  電話03-3560-1289  メールlasalle@arex-corp.com

*このプレスリリースは、国土交通記者会、国土交通省建設専門紙記者会へ配布しております。

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